葬儀で目にする「本尊」の意味とは?
葬儀を教えて、
先生、「本尊」って葬儀でよく聞く言葉だけど、仏壇にある仏像のことってイメージしかないんです。他にどんなものがあるんですか?
葬儀スタッフ
いい質問ですね。確かに、仏壇にある仏像は本尊ですね。でも、本尊は「礼拝の対象」となるものなので、仏像以外にもなるものがあるんですよ。
葬儀を教えて、
え、仏像以外もあるんですか?例えばどんなものですか?
葬儀スタッフ
例えば、曼荼羅(まんだら)も本尊になります。あとは、宗派によって阿弥陀如来や大日如来など、信仰の中心となる仏様が本尊とされているんですよ。わかりましたか?
本尊とは。
「本尊」とは、お寺などで拝むために安置されている仏様や菩薩様の像のことです。脇侍や眷属を従えた釈迦三尊像の場合、中心に位置する釈迦如来像が本尊となります。礼拝の対象となるものであれば、仏像だけでなく、絵画や曼荼羅なども本尊になりえます。それぞれの寺院の歴史や信仰の違いによって、本尊として安置されるものも異なります。例えば、天台宗では阿弥陀如来、真言宗では大日如来、曹洞宗では釈迦如来、日蓮宗では曼荼羅などが本尊とされています。家庭では、一般的に仏壇の中に本尊が安置されています。
葬儀における本尊の役割
葬儀における本尊は、故人にとっての心の拠り所であり、極楽浄土へと導くための重要な役割を担っています。宗派によってその姿や呼び名は異なりますが、いずれも故人の成仏を願い、遺族の心を支える存在として大切にされています。 本尊は、故人が生前に信仰していた仏様や、故人の死後をより良く導くとされる仏様であることが多いです。例えば、阿弥陀如来は浄土宗や浄土真宗の本尊とされ、死後、極楽浄土に往生できるよう導くとされています。また、薬師如来は病気平癒や延命にご利益があるとされ、故人の安らかな旅立ちを祈る際に本尊として選ばれることがあります。
宗派による本尊の違い
葬儀の際に安置される、きらびやかで優しい顔立ちの仏像。私たちはそれを「ご本尊」と呼び、手を合わせて故人の冥福を祈ります。しかし、ひとくちに「ご本尊」といっても、宗派によってその姿は様々です。
例えば、日本で最も多くの寺院数を誇る浄土宗や浄土真宗では、阿弥陀如来を本尊としています。阿弥陀如来は、極楽浄土を統べる仏様として知られ、私たちを救い、悟りの世界へと導いてくれる存在です。
一方、禅宗では釈迦牟尼仏が本尊とされています。釈迦牟尼仏は、仏教の開祖であり、厳しい修行の末に悟りを開いたと伝えられています。
このように、宗派によって信仰の対象となる仏様は異なり、それに伴いご本尊の姿も変化します。葬儀に参列する際には、それぞれの宗派の教えや信仰に触れ、故人を偲ぶとともに、ご自身の心の在り方についても改めて考えてみるのも良いかもしれません。
ご家庭の本尊:仏壇との関係
ご家庭の仏壇にも、ご本尊が安置されているはずです。位牌よりも一段高い位置に安置されていることが多く、仏壇の中心的な存在といえます。毎日手を合わせる対象であり、亡くなった方を偲ぶ際には、このご本尊を通して祈りを捧げてきた方も多いのではないでしょうか。
葬儀で目にするご本尊は、いわばご家庭の仏壇を葬儀会場に拡大したものと考えることができます。ご家庭で手を合わせてきたのと同じように、葬儀会場でもご本尊を通して故人への祈りを捧げます。そして、四十九日を経て、故人の魂が浄土へと旅立った後、ご遺族は改めてご家庭の本尊と向き合い、故人を偲んでいくのです。
本尊の選び方と注意点
故人様が生前に信仰していた宗派によって、本尊は異なります。そのため、まずはどの宗派の教えを信仰していたのかを確認することが大切です。例えば、浄土真宗では阿弥陀如来、真言宗では大日如来といったように、宗派によってお祀りする仏様が決まっています。もし、故人様の信仰していた宗派が不明な場合は、菩提寺に相談するか、親族間でよく話し合って決めるようにしましょう。
また、本尊の形状や大きさも、葬儀の規模や会場の広さによって選ぶ必要があります。大きな会場で行う葬儀の場合、小さな本尊では見栄えがしないため、ある程度の大きさが必要となります。葬儀社に相談すれば、適切なアドバイスをもらえますので、遠慮なく相談してみましょう。
本尊を通して故人を偲ぶ
葬儀で遺影とともに静かに私たちを見守るように安置されている「本尊」。手を合わせる際に目にする機会も多いですが、その意味について深く考えることは少ないかもしれません。
仏教において、本尊とは「根本となる尊いもの」を指します。宗派によってご本尊は異なりますが、いずれも故人が生前に信仰の対象としてきたものであり、故人の心の拠り所であったといえるでしょう。
残された私たちにとって本尊は、故人の在りし日を重ね合わせる大切なよすがとなります。手を合わせる時、生前の故人の姿を思い浮かべ、対話するように語りかけることで、故人と心を通わせ、その魂と静かに向き合うことができるのではないでしょうか。