知っておきたい葬儀の基礎知識：枕飾りの意味と役割
葬儀を教えて、
先生、「枕飾り」ってなんですか？ 亡くなった方の枕元に何か置くんですよね？
葬儀スタッフ
よく知っていますね！ その通りです。枕飾りは、亡くなった方を自宅などに安置した際、枕元に設置する祭壇のことです。では、何のために置くと思いますか？
葬儀を教えて、
うーん、故人を偲ぶためですか？
葬儀スタッフ
はい、それも大切な意味です。加えて、枕飾りは、故人の魂が迷わずあの世に行けるように、そして安らかに過ごせるようにと願いを込めて飾るんですよ。
枕飾りとは。
「枕飾り」とは、故人が亡くなり、遺体を安置した後に枕元にしつらえる祭壇のことです。この祭壇には、線香を立てる香炉、火を灯す燭台、花を生ける花立の他に、水、故人のためのお供え物として枕団子や枕飯などを供えます。
枕飾りとは何か？
枕飾りとは、人が亡くなった直後、ご遺体を安置した枕元に置く枕状の台座と、その上に置く品々のことを指します。 別名「枕机（まくらづくえ）」とも呼ばれ、故人のための祭壇としての役割を担います。 これは、亡くなった方があの世へ旅立てるようにとの願いを込めて、故人の魂を慰め、敬意を表すための大切な儀式です。
枕飾りを飾る意味と由来
枕飾りは、故人の魂を慰め、安らかにあの世へと旅立っていただけるようにとの願いを込めて飾るものです。古くは、死を穢れと見なす考え方があり、枕元に置くことで、その穢れから生きている者を隔てるという意味合いもありました。
枕飾りの起源は、仏教が伝来する以前の日本に遡るとされています。古代の人々は、魂は山へ帰ると信じられており、その際、故人が迷わずにあの世へ旅立てるようにと、山に見立てた塚を築き、花や食べ物などを供えていました。この風習が、仏教と融合し、現在の枕飾りのような形になったと考えられています。
枕飾りに置くものとその意味
枕飾りは、ただ故人の枕元に物を置くだけのように見えて、実はそれぞれに深い意味が込められています。まず、故人の魂が迷わずに戻ってこられるようにという願いを込めて、故人の愛用していた湯呑みやお茶碗にご飯を山盛りによそい、箸を立てて供えます。これは「枕飯（まくらめし）」と呼ばれ、最も大切な意味を持つとされています。
また、あの世への旅路を灯すという意味で、ろうそくを灯した燭台を置きます。これは、かつて電気のない時代、夜通し火を灯し続けることで故人の魂を守ると信じられていたことに由来します。さらに、故人の魂が清められ、あの世で再び苦しむことのないようにという願いを込めて、花を生けた花立ても置きます。
枕飾りは、地域や宗教、宗派によって異なる場合もありますが、いずれも故人を偲び、冥福を祈る気持ちは共通しています。一つ一つの品に込められた意味を知ることで、より一層深い哀悼の意を表すことができるでしょう。
地域や宗派による枕飾りの違い
枕飾りは、故人の魂を安らかにあの世へと送るための大切な儀式ですが、その飾り方には地域や宗派によって様々な違いが見られます。例えば、宗派によって好まれる花の色や種類が異なり、地域によっては独特の風習が残っていることもあります。
例えば、関東地方では枕飾りの際に六文銭を逆さに置く風習がありますが、これは「あの世ではこの世の逆さまになる」という考えに基づいています。また、浄土真宗では、死を穢れとみなさないため、枕飾りを簡素にする傾向があります。
このように、地域や宗派によって枕飾りの意味合いや具体的な方法は異なるため、事前に故人の出身地や信仰している宗教について確認しておくことが大切です。わからないことがあれば、葬儀社に相談してみるのも良いでしょう。
現代における枕飾りの変化
かつては自宅に故人を安置することが一般的であり、枕飾りも自宅で家族が行うのが習わしでした。しかし、近年では都市部を中心に住宅事情の変化や核家族化が進み、葬儀は葬儀場で行われるケースが増加しています。それに伴い、枕飾りも葬儀場で行うことが多くなってきています。
また、核家族化や少子高齢化の影響で、葬儀の規模は縮小傾向にあります。従来のような形式にとらわれず、家族葬など、故人との最後の時間を大切にしたいという人が増えています。そのため、枕飾りについても、簡素化される傾向が見られます。
