「御会式」って何? 日蓮の忌日を偲ぶ法要

葬儀に関すること

「御会式」って何? 日蓮の忌日を偲ぶ法要

葬儀を教えて、

先生、『御仏前』って、お香典袋に書く時に使う言葉ですよね?いつ使うんですか?

葬儀スタッフ

良い質問ですね。『御仏前』は、四十九日の忌明け後に使う言葉です。それまでは『御霊前』を使いますよ。

葬儀を教えて、

そうなんですね。忌明け前と後で違う言葉を使うのは、何か理由があるんですか?

葬儀スタッフ

仏教では、人は亡くなってから四十九日間は、現世とあの世をさまよっているとされているんです。忌明け後は、あの世で仏様になるため、『御仏前』を使うんですよ。

御仏前とは。

「御仏前」は、仏様を敬って丁寧に表す言葉で、お香典やお供え物を差し上げる際に使われます。お香典袋の表書きにも用いられますが、使用するのは四十九日の忌明け後、つまり法事などからです。四十九日の忌明けまでは「御霊前」を使います。仏教では、人が亡くなってから四十九日間は、魂が現世とあの世を彷徨うと考えられており、「中陰」と呼ばれます。この期間、七日ごとに七回法要を行うことで、故人の現世での行いを浄化し、閻魔大王によってあの世での行き先が決められるとされています。

日蓮聖人と「御会式」の由来

日蓮聖人と「御会式」の由来

「御会式(おえしき)」とは、日蓮宗の宗祖である日蓮聖人の命日である10月13日に、その生涯と教えを偲び、感謝を捧げる法要のことです。

日蓮聖人は1222年に生まれ、鎌倉時代の日本で新しい仏教の教えを広めました。しかし、当時の権力者からは弾圧され、波乱の生涯を送ることになります。それでも日蓮聖人は自らの信念を曲げずに教えを広め続け、1282年10月13日、池上宗仲の館にて61歳で入滅されました。

日蓮聖人の死後、弟子たちは悲しみに暮れる中で、その教えを後世に伝えていくことを誓います。そして、命日である10月13日に法要を営み、日蓮聖人の遺徳を偲びました。これが「御会式」の始まりとされています。

当初は厳粛な法要として営まれていましたが、時代が経つにつれて、日蓮聖人の教えを広く人々に伝えるため、より華やかで親しみやすいものへと変化していきました。現在では、日蓮宗の寺院を中心に、万灯行列や音楽パレードなどが行われ、多くの人々が集まる一大イベントとなっています。

「御会式」はどんな儀式?

「御会式」はどんな儀式?

「御会式」は、日蓮聖人の命日である10月13日に、その生涯を偲び、教えを称える法要です。一般的には、日蓮宗の寺院で盛大に営まれます。

「御会式」の最大の特徴は、厳粛な法要だけでなく、華やかで賑やかな祭りの側面も持っていることです。特に、日蓮聖人が入滅した地である池上本門寺(東京都大田区)の「御会式」は有名で、毎年多くの人で賑わいます。

「御会式」の時期と場所

「御会式」の時期と場所

日蓮聖人の命日である10月13日に合わせて、全国各地の寺院で「御会式(おえしき)」と呼ばれる法要が行われます。特に、日蓮宗の総本山である身延山久遠寺(山梨県)や、池上本門寺(東京都)など、ゆかりの深い寺院では、盛大な法要が執り行われます。また、寺院によっては、10月13日に近い週末に御会式を行う場合もあります。事前に寺院の公式サイトなどで確認することをおすすめします。

「御会式」で見られる独特な風習

「御会式」で見られる独特な風習

日蓮聖人の忌日である10月13日前後には、全国各地の寺院で「御会式(おえしき)」と呼ばれる法要が営まれます。宗派によって、また地域によって、様々な形で執り行われる御会式ですが、そこにはいくつかの独特な風習が見られます。

まず挙げられるのが、「万灯」と呼ばれる儀式です。これは、日蓮聖人の入滅時に弟子たちが、暗闇を照らして駆けつけたという故事に由来するもので、たくさんの提灯で境内を華やかに彩ります。特に、日蓮宗の大本山である池上本門寺(東京都大田区)の万灯は有名で、毎年多くの人で賑わいます。

また、「纏(まとい)」や「獅子舞」の奉納も見どころの一つです。江戸時代、火消したちが日蓮宗を信仰していたことから、纏が奉納されるようになったと言われています。纏を巧みに操る姿は、見る者を圧倒する迫力があります。

さらに、賑やかな音楽と共に練り歩く「御会式桜」も特徴的です。これは、日蓮聖人が臨終の際に桜の花を手にしたという言い伝えにちなんだもので、桜の造花を飾り付けた万灯を先頭に、踊りながら街を練り歩きます。

このように、御会式は厳粛な法要であると同時に、地域の人々にとっての一大イベントとしての側面も持ち合わせています。それぞれの風習に込められた意味を知ると、より一層御会式への理解を深めることができるでしょう。

現代社会における「御会式」の意義

現代社会における「御会式」の意義

日蓮聖人の死を悼み、その教えを偲ぶ「御会式」。仏教行事でありながら、地域の人々の交流の場として、賑わいを見せる様子は、現代社会においても重要な意味を持ちます。

「御会式」は、本来、宗教的な儀式として始まりましたが、時代と共に地域の人々が集い、共に過ごす年中行事としての側面を持つようになりました。現代社会においては、地域コミュニティの希薄化や人間関係の希薄化が課題として挙げられますが、「御会式」のような伝統的な行事は、人々が集い、交流する貴重な機会を提供してくれます。

また、「御会式」は、日蓮聖人の教えに触れる機会でもあります。 日蓮聖人は、社会の平和と人々の幸福を願い、その教えを説きました。現代社会においても、貧困や差別、環境問題など、私たちが直面する課題は多くあります。 「御会式」をきっかけに、日蓮聖人の教えに耳を傾けることは、これらの課題解決へのヒントを与えてくれるかもしれません。

さらに、「御会式」は、伝統文化を継承していく上でも重要な役割を担っています。 万灯練りや纏の奉納など、「御会式」には地域独自の伝統芸能が数多く伝承されています。これらの伝統文化は、地域のアイデンティティを形成する上で欠かせないものです。「御会式」を通して、次世代へとこれらの貴重な文化を繋いでいくことができます。

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