葬儀の「逆さごと」:意味と由来を探る
葬儀を教えて、
先生、「逆さごと」ってなんですか? 葬儀で屏風を逆さにしたりするって聞いたことがあるんですけど…
葬儀スタッフ
良い質問ですね。その通り、「逆さごと」は葬儀に関する行為や飾りを、普段とは逆にすることを指します。逆さ屏風はその代表例で、 他にも死に装束を左前に着せることもあるんですよ。
葬儀を教えて、
へえ〜。でも、なんで逆にするんですか?
葬儀スタッフ
それは諸説あって、はっきりとは分かっていないんです。 一つは、死者をこの世とは違う世界の人とすることで、現世に留まらせないようにする、という意味合いがあると言われています。 また、死者の霊が迷わずあの世に行けるように、 という意味もあるようですよ。
逆さごととは。
葬儀における「逆さごと」とは、普段とは反対にする行為や飾り付けのことを指します。例えば、故人の枕元に置く屏風を逆さに立てる「逆さ屏風」や、死に装束を左前に着せるなどが挙げられます。その由来は様々で、古くからの慣習や言い伝えなど、様々な説が存在します。
「逆さごと」とは何か?
日本の葬儀には、独特のしきたりやマナーが存在します。中でも、「逆さごと」と呼ばれる行為は、故人への思いを形にするための古くからの風習です。
「逆さごと」とは、その名の通り、日常で行うことを逆にすることを指します。例えば、お茶碗の蓋を伏せて置いたり、服を左前に着せたり、屏風を逆さに立てたりといった行為が挙げられます。これらの行為には、死を悼み、故人の霊が迷わずあの世に行けるようにとの願いが込められています。
代表的な「逆さごと」:逆さ屏風
葬儀の場で目にする不思議な風習の一つに、「逆さ屏風」があります。これは、屏風に描かれた絵柄を逆さまに置くことを指し、古くから日本各地で行われてきました。一体なぜ、このようなことをするのでしょうか?そこには、死者をあの世へと見送るための、日本人の深い思いが込められています。
諸説ありますが、逆さ屏風には、現世とは異なる世界である「あの世」を表現するという意味合いがあるとされています。また、逆さまにすることで、魔除けの効果を期待する考え方もあったようです。
かつては、屏風は高価な調度品であり、裕福な家庭でしか所有することができませんでした。そのため、葬儀の際に逆さ屏風を使用することは、故人の霊を丁重に扱い、あの世へと送り出すための、一種のステータスシンボルとしての役割も担っていたと考えられます。
現代においても、逆さ屏風は葬儀の場でよく見られる光景です。時代の流れとともに、その意味合いは変化しつつありますが、古くからの伝統を受け継ぎ、故人を敬う気持ちは、今も昔も変わることはありません。
死に装束の左前:その意味するところ
「死者に旅支度をさせる」という言葉があるように、葬儀では故人があの世へと旅立てるよう、様々な準備を行います。中でも特徴的なのが、「逆さごと」と呼ばれる風習です。
これは、現世とは反対の意味を持つ行動をとることで、あの世での逆転を願う、あるいは死者の世界と現世を隔てるという意味が込められています。
この「逆さごと」の代表例と言えるのが、死に装束の着付け方です。私たちが普段着物を着る時は左前にしますが、死に装束の場合は右前に着せるのが一般的です。これは、鏡に映った自分の姿、つまり逆さの姿を死者に見立てているためと言われています。
また、心臓の音を聞くために左側に寝かせるという説や、仏教において左を不浄の手とするためなどの解釈も存在します。
このように、死に装束の左前には様々な意味が込められており、地域や宗派によっても解釈が異なる場合があります。大切なのは、それぞれの意味を理解し、故人を偲ぶ気持ちを持って葬儀に臨むことと言えるでしょう。
「逆さごと」の由来:諸説と解釈
「逆さごと」とは、死を穢れとする考え方と、死者を慰め、あの世での幸福を願うという二つの相反する考え方が混在していると言われています。
その起源は、古くはアニミズムやシャーマニズムなどの原始宗教に求められると考えられています。死者の魂が、現世に留まろうとしたり、再び戻ってきたりすることを防ぐために、敢えて逆の行為をすることで魂を混乱させ、あの世へ送り出すという考え方があったようです。
また、仏教の影響も指摘されています。仏教では、この世は迷いの世界であり、死はそこから解放されると考えられています。「逆さごと」は、死者が迷わずに成仏できるようにとの願いを込めて行われるようになったという解釈もあります。
いずれにしても、「逆さごと」は、古来より日本人が死と向き合い、死者への畏敬の念や、残された者の悲しみを表現してきた、独自の文化と言えるでしょう。
現代における「逆さごと」の意義
かつては広く行われていた葬儀の「逆さごと」。時代の流れとともに簡簡略化が進み、今では見かけることも少なくなりました。しかし、その習慣の根底には、死者の魂を迷わせず、無事にあの世へ送り届けるという先人たちの深い願いが込められています。
情報化社会が進み、人々の生活が大きく変化した現代においても、「逆さごと」は単なる迷信ではなく、故人を偲び、その死を受け入れるための大切な儀式としての意味を持つと言えるでしょう。忙しい日々の中で、改めて死と向き合い、命の尊さについて考える貴重な機会を与えてくれるのではないでしょうか。