宮型霊柩車：その由来と変遷
葬儀を教えて、
先生、「宮型霊柩車」って普通の霊柩車と何が違うんですか？霊柩車は病院から家に連れて帰ってきてくれる時にも使うって聞いたんですけど、宮型霊柩車もそういう時に使うんですか？
葬儀スタッフ
いい質問だね！宮型霊柩車は、普通の霊柩車と比べて、屋根の部分が神社やお寺の建物のような形をしているんだよ。だから、見分けがつきやすいんだ。でも、病院から家に連れて帰ってきてくれる時には、宮型霊柩車は使われないよ。
葬儀を教えて、
そうなんですね。じゃあ、宮型霊柩車は何のために使うんですか？
葬儀スタッフ
宮型霊柩車は、葬儀会場から火葬場まで、故人を送る時に使われる特別な車なんだよ。豪華な見た目から、故人への敬意を表す意味もあるんだよ。
宮型霊柩車とは。
「宮型霊柩車」とは、故人を乗せて葬儀会場と火葬場を結ぶために使われる車のことで、一般的に「霊柩車」と呼ばれるものです。病院から自宅、または自宅から葬儀会場へ故人を搬送する際にも使用されますが、この場合は「寝台車」や「搬送車」と呼び名が変わります。宮型霊柩車は、キャデラックなどの大型車をベースに、神社仏閣の屋根のような装飾を施したデザインが特徴です。
霊柩車の役割と種類
「霊柩車」とは、故人のご遺体を、自宅から葬儀場、そして火葬場へと搬送するために使用される車です。単に「霊柩車」と聞いても、黒塗りの車体をイメージする方が多いでしょう。しかし、一口に霊柩車と言っても、その形状は実に様々です。
まず、一般的なのは、ステーションワゴンタイプの車体に装飾を施した「洋型霊柩車」です。葬儀が簡素化しつつある現代においては、この洋型霊柩車が主流となっています。一方で、仏教様式が色濃く残る地域では、寺院の屋根を模した「宮型霊柩車」も活躍しています。豪華絢爛な装飾が施された宮型霊柩車は、故人の最期の旅路を華やかに彩ります。
その他にも、マイクロバスを改造した「バス型霊柩車」、軽トラックを改造した「軽霊柩車」など、地域や宗教、葬儀の形式によって、様々な種類の霊柩車が使い分けられています。
宮型霊柩車の登場
現在日本で広く見られる、絢爛豪華な装飾を施した宮型霊柩車。その起源は意外にも古く、江戸時代に遡ります。当時の葬列は、故人の霊魂を乗せた輿や車などを従えて行われていました。その中で、特に位の高い人物の葬儀には、神輿や仏閣を模した壮麗な車が用いられるようになり、これが宮型霊柩車の原型となったと言われています。
デザインの由来と変遷
宮型霊柩車の豪華絢爛な装飾は、見るものを圧倒する美しさを持っています。そのデザインは、一体どのようにして生まれたのでしょうか。
起源を辿ると、仏教と神道の影響を見て取ることができます。古代より日本では、死者をあの世へと送り出す際に、神聖な宮殿を模した輿に乗せていたという歴史があります。この考え方が、時代を経て宮型霊柩車の原型となっていったと考えられています。
初期の宮型霊柩車は、簡素な装飾で、どちらかといえば輿に近いものでした。しかし、時代が進むにつれて、彫刻や金箔、漆塗りといった装飾が施されるようになり、現在のような豪華な姿へと変貌を遂げました。
特に、高度経済成長期には、人々の豊かさへの欲求と相まって、より華美で豪華な装飾が求められるようになりました。その結果、地域や宗教的な背景も反映されながら、多様なデザインの宮型霊柩車が誕生したのです。
地域差と現代における宮型霊柩車
日本全国で見られる宮型霊柩車ですが、その姿形は地域によって多種多様です。例えば、屋根の形状や装飾、車体の色使いなどは、それぞれの地域における伝統や信仰、そして美的感覚を反映していると言えます。例えば、京都では黒塗りの重厚な造りが主流なのに対し、関西地方の一部では豪華絢爛な彫刻を施したものが好まれるなど、その違いは顕著です。
近年では、少子高齢化や葬儀の簡略化に伴い、宮型霊柩車の需要は減少傾向にあります。しかし、一方で、伝統的な文化を継承していくための試みや、故人の想いを形にする手段として、その価値が見直されつつあります。現代のニーズに合わせて、車種のバリエーションが増えていることもその一例と言えるでしょう。また、地域によっては、祭礼などの際に装飾を施して運行するなど、葬儀以外の用途も見出されています。
宮型霊柩車の未来
少子高齢化や葬儀の小規模化が進む現代において、宮型霊柩車の需要は減少傾向にあります。かつてのような華やかな装飾を施した大型の霊柩車は、街の風景から姿を消しつつあります。しかし、伝統的な文化や技術を継承していくという観点から、その価値が見直され始めています。近年では、従来の形式にとらわれず、現代的なデザインを取り入れた新型の宮型霊柩車も登場しています。時代の変化とともに、宮型霊柩車は新たな形へと進化を遂げようとしています。
