知っておきたい霊柩車の種類と役割

知っておきたい霊柩車の種類と役割

霊柩車とは？

霊柩車とは、故人のご遺体を安置し、葬儀場や火葬場、そして最終目的地まで搬送するための車です。単に「霊柩車」と聞いても、実際には用途や外観によっていくつかの種類が存在します。次の章から、それぞれの特徴について詳しく見ていきましょう。

霊柩車の歴史

霊柩車は、故人の尊厳を守り、最後の旅路を飾るための車両です。その歴史は古く、馬車が主流であった時代には、柩を乗せるための装飾を施した「霊柩馬車」が用いられていました。時代が進むにつれて自動車が登場すると、霊柩馬車は姿を消し、自動車を改造した霊柩車が主流となっていきます。 日本では1910年代に初めて霊柩自動車が登場し、その後、洋型の宮型霊柩車や、現在主流となっているバン型霊柩車が登場するなど、時代の変化とともにその姿を変えてきました。

種類別に見る霊柩車の魅力

霊柩車と一言で言っても、実はその形状や用途によっていくつかの種類に分けられます。それぞれの霊柩車は、故人を偲び、そして新たな旅立ちを演出するために、独自の役割と魅力を備えています。ここでは、代表的な霊柩車の種類と、その特徴について詳しく見ていきましょう。

宮型車・洋車・ワゴン車の違い

故人との最後のお別れを飾る霊柩車。その種類は、大きく分けて宮型車、洋車、ワゴン車の3つに分類されます。それぞれに特徴や役割があり、故人や遺族の希望に合わせて選ばれます。

まず、宮型車は、日本の伝統的な様式美を体現した霊柩車です。屋根にそびえ立つ壮麗な「宮」が特徴で、古くから葬儀の場に荘厳さを添えてきました。一方、洋車は、欧米のスタイルを取り入れた、スタイリッシュで洗練された印象の霊柩車です。シンプルながらも重厚感のあるデザインが人気を集めています。そして、ワゴン車は、比較的コンパクトで、費用を抑えられるという点で選ばれることが多い霊柩車です。病院から式場、火葬場まで、故人を丁重に搬送する役割を担います。

時代の変化に伴う霊柩車の変遷

かつて、故人との最後のお別れを飾る葬送の儀式は、地域社会全体で執り行われる厳粛なものでした。その中心を担ったのが、華やかに装飾された宮型霊柩車です。お寺や神社などの荘厳な建物を模したその姿は、故人の旅立ちを荘厳に彩り、地域の人々の記憶に深く刻まれました。

しかし、時代の流れとともに、葬送のあり方も大きく変化しました。都市化が進み、核家族化が進む中で、葬儀は家族葬など、より簡素で私的なものへと変化していきました。それに伴い、霊柩車もまた、シンプルなデザインのものが主流となっていきました。

近年では、故人の好きだった色や花で車内を飾り付ける、オリジナル性の高い霊柩車も登場しています。これは、故人との最後の時間を、より深く、そして自由に過ごしたいという人々の想いの表れと言えるでしょう。