くり出し位牌って?:知っておきたい位牌の知識
葬儀を教えて、
先生、くりだし位牌って普通の位牌とどう違うんですか? たくさんご先祖様がいる家だと、位牌がたくさん必要になるって聞いたんですけど、くりだし位牌なら一つでいいんですよね?
葬儀スタッフ
良い質問ですね! くりだし位牌は、複数の戒名を一つにまとめられる位牌のことです。 多くの位牌を置くスペースがない場合などに用いられます。 ただ、一つにまとめるといっても、一枚の板にたくさんの戒名が書かれているわけではありませんよ。
葬儀を教えて、
え、そうなんですか? じゃ、どうやって複数の戒名を納めるんですか?
葬儀スタッフ
くりだし位牌の中には、薄い木の板がたくさん収納されていて、それぞれの板に戒名が書かれています。 普段は〇〇家や先祖代々といった文字の板を前に出して祀り、法要の際には、故人の戒名が書かれた板を前に出すんです。 そうすることで、たくさんの位牌を置く必要がなくなり、コンパクトにまとめることができるんですよ。
くりだし位牌とは。
「くりだし位牌」とは、複数の故人の戒名を記した木板を一枚ずつ収納できる位牌のことです。ご先祖様の位牌が多くなり、個別に安置するのが難しい場合などに用いられます。一つの位牌に10枚から15枚ほどの戒名板を納めることができます。
普段は「○○家」や「先祖代々」といった表書きの板を前面に置き、法要の際には、故人の戒名が書かれた板を前に出して供養します。
戒名板の順番は、ご先祖様の時代順や命日順で並べられることが多いようです。命日順の場合は、祥月命日が過ぎるとその戒名板を一番後ろに回し、次の祥月命日の方の戒名板を一番前に出すようにします。
現代の祈りの形式:くり出し位牌とは
仏教において、故人を偲び、供養の対象としていくための大切な存在である位牌。その中でも、現代の住宅事情に合ったコンパクトなものが「くり出し位牌」です。これは、内部に札板を納めることができる構造が特徴で、従来の位牌と比べて奥行きが短く、限られたスペースにも置くことができます。現代の生活様式に合わせた、新しい祈りの形として広まりを見せています。
くり出し位牌の仕組みと使い方
くり出し位牌は、その名の通り「くり抜く」構造を持つ位牌です。本体である「外箱」と、中に安置する「札板」の二重構造となっており、札板を出し入れして情報を書き換えることができます。
一般的な使い方は、まず白木の札板に故人の戒名などを記し、四十九日法要まで安置します。その後、四十九日法要や百か日法要などのタイミングで、白木の札板を本位牌である黒塗りの札板と交換します。
このように、くり出し位牌は一つの位牌で長く故人を供養できるという特徴があります。また、札板を収納できるため、コンパクトにまとまる点もメリットと言えるでしょう。
どんな時にくり出し位牌を選ぶの?
くり出し位牌は、故人様が一人の時に選ばれることが多い位牌です。ご夫婦で一緒に安置する場合は、夫婦位牌と呼ばれる別の種類の位牌を用いることが一般的です。また、くり出し位牌は、そのシンプルな構造から、故人様とのお別れを経験した直後、悲しみの気持ちが強い時期に選ばれる傾向があります。これは、華美な装飾がない分、故人様への静かな祈りを捧げることに集中できるという点で、遺族の方々の心情に寄り添うものと言えるでしょう。
位牌の選び方:くり出し位牌の種類と特徴
お仏壇や仏具と同様に、位牌にも様々な種類が存在します。中でも、「くり出し位牌」は、その豪華な見た目と丁寧な造りから、特に人気が高い種類と言えるでしょう。
くり出し位牌は、黒漆を塗り重ねた「漆塗り位牌」の中でも、複数の木材を組み合わせることで、美しい装飾を施した位牌を指します。
その種類は、大きく分けて「唐木くり出し位牌」と「蒔絵位牌」の二つに分けられます。
唐木くり出し位牌は、黒檀や紫檀といった唐木材を贅沢に使用し、木材そのものの色合いや木目を活かした重厚な雰囲気が特徴です。一方、蒔絵位牌は、漆塗り位牌に金粉や色粉で華やかな絵柄を描いたもので、金箔や螺鈿などを用いた豪華絢爛なものが多く見られます。
このように、くり出し位牌は、伝統的な技法と洗練されたデザインが融合した、まさに芸術品と言えるでしょう。予算や好みに合わせて、最適なものを選ぶことが大切です。
くり出し位牌とご供養の心
くり出し位牌は、その名の通り、外側の厨子から内側の位牌の本体を取り出すことができる構造を持つ位牌です。この精巧な作りは、単なる装飾ではなく、ご先祖様への深い敬意と愛情を表すものとして古くから大切にされてきました。
内側の位牌には、故人のお名前や没年月日などが記され、私たちの子孫とご先祖様とを繋ぐ大切な役割を担います。そして、その大切な位牌を丁寧に包み込むように作られた外側の厨子は、安らぎの空間を生み出し、故人への想いをより一層深めてくれます。
毎日手を合わせる中で、この精巧な作りと、そこに込められたご先祖様への想いに触れることで、自然と感謝の気持ちが湧き上がってくるのではないでしょうか。くり出し位牌は、形だけの供養ではなく、心のこもったご供養をしたいと願う人々の心を支える、大切な役割を担っていると言えるでしょう。