葬儀に欠かせない経机とその意味を知る

葬儀に欠かせない経机とその意味を知る

経机とは何か？

経机とは、仏教において読経や礼拝、お供え物をする際に用いられる台のことです。
お葬式で目にする機会が多いですが、寺院はもちろんのこと、仏壇の前に置かれることもあります。
素材は木製で、漆塗りの上に金箔や蒔絵で装飾が施されているなど、華やかで格式高いものが一般的です。
形状は天板が広く、下に収納スペースを備えているものが多いですが、
寺院の規模や用途によって大きさやデザインはさまざまです。

葬儀における経机の役割

葬儀に参列すると、必ずと言っていいほど目にする経机。その上に置かれた香炉から立ち上る煙、静かに置かれた仏具の数々。厳粛な雰囲気の中で、経机は重要な役割を担っています。

経机は、仏教においては、仏様の世界と私たちの世界をつなぐ架け橋としての意味合いを持ちます。お経をあげる際には、経机の上に経典や仏具を安置し、読経の声と共に故人への祈りを捧げます。また、故人の霊を慰め、安らかな旅立ちを祈願する場所として、葬儀には欠かせない存在となっています。

経机は、単なる机ではなく、故人への思いを乗せるための、いわば神聖な祭壇としての役割を担っていると言えるでしょう。

経机の種類と特徴

経机と一言で言っても、素材や形状、大きさなど様々な種類があります。
まず、素材については、伝統的な木製のものから、軽量で持ち運びしやすいプラスチック製、華やかさのある金仏壇に合わせた金箔張りのものまであります。
形状に関しては、一般的な四角形のものの他に、場所を取らずに置ける丸型や、収納スペースを備えた棚付きのものも人気です。
さらに、折りたたみ式の経机は、使用しない時はコンパクトに収納できるため、近年需要が高まっています。
このように、経机は多様化しており、それぞれの家庭の信仰の形や住宅環境に合わせて選ぶことができます。

経机にまつわるマナー

仏教式の葬儀で必ずといっていいほど目にする経机ですが、その役割や扱い方についてご存知ない方も多いのではないでしょうか？ 経机は、単なる机ではなく、故人との最後の大切な時間を共にするための、宗教的に重要な意味を持つ道具です。

そこで今回は、経机にまつわるマナーをいくつかご紹介します。まず、経机の上には、線香やロウソク、お花、故人のための飲食物など、お供え物を置きますが、故人が生前に好きだったものなどを置くことは控えるようにしましょう。

また、経机に手をついて合掌するのは、僧侶が読経を行う時のみです。参列者は、自分の席の前で合掌するのが一般的です。

さらに、葬儀の最中に、経机に置かれた経本や数珠に触れたり、動かしたりするのもマナー違反です。これらの行為は、故人への冒涜とみなされる可能性がありますので、注意が必要です。

葬儀は、故人を偲び、冥福を祈る大切な儀式です。経机とそのマナーを正しく理解することで、より心を込めて故人を見送ることができるでしょう。

現代の葬儀と経机の関わり

かつて日本の葬儀においては、自宅に祭壇を設け、僧侶に読経していただくことが一般的でした。その際、お経文を載せたり、お線香やロウソクを供えたりするために欠かせない存在であったのが経机です。しかし、現代では葬儀場を利用するケースが増え、自宅に経机を持つ家庭は少なくなってきています。そのため、葬儀場側が経机を用意していることがほとんどです。

一方で、近年見直されているのが、故人との最後の時間をゆっくりと過ごせる「家族葬」です。家族葬では、自宅に祭壇を設け、従来の形式に近いスタイルで行うケースも少なくありません。このような場合、自宅に経机があると、より厳粛な雰囲気で故人を見送ることができます。

また、経机は、仏壇とは異なり、折りたたんで収納できるものも多く、普段は収納スペースに困りません。そのため、葬儀という特別な場面だけでなく、法事や命日など、故人を偲ぶ際に活用することも可能です。

このように、現代の葬儀において、経机は必ずしも必須のアイテムではなくなってきています。しかし、その役割と意味を知ることで、故人への想いをより深く表現できるのではないでしょうか。