遺産分割調停:円満な相続のために
葬儀を教えて、
遺産分割調停って、具体的にどんなことをするんですか?普通の遺産分割と何が違うんですか?
葬儀スタッフ
良い質問ですね。遺産分割調停とは、遺産分割の話し合いがうまくいかない場合に、家庭裁判所に間に入ってもらい、解決を目指す手続きのことです。遺産分割自体は、相続人だけで行うこともできますが、調停では調停員という第三者が間に入って、話し合いをスムーズに進めるようサポートしてくれます。
葬儀を教えて、
なるほど。じゃあ、調停なら必ず解決できるんですか?
葬儀スタッフ
残念ながら、必ず解決できるわけではありません。調停でも合意できない場合は、遺産分割審判という、家庭裁判所が決定を下す手続きに移行することになります。審判は、調停とは異なり、裁判官が最終的な判断を下すため、強制力があります。
遺産分割調停とは。
亡くなった方が残した財産を、受け取る権利を持つ相続人で分けることを「遺産分割」と言います。この財産を「相続財産」、権利を持つ人を「相続人」と呼びます。相続財産には、現金や預金、株券など、換金しやすいものから、分割が難しくトラブルの原因になりやすい不動産まで、様々なものがあります。
相続を行うには、相続人全員が納得し、合意することが不可欠です。遺産分割の方法としては、遺言書があればそれに従い、なければ民法で定められた法定相続に従って、相続人全員で話し合い、円満に分割します。
しかし、話し合いがまとまらず、自分たちだけでは解決できない場合は、家庭裁判所に「遺産分割調停」を申し立てることができます。家庭裁判所では、調停員が間に入り、双方の言い分を聞いた上で、客観的な立場からアドバイスを行い、円滑な解決をサポートします。
それでも合意に至らない場合は、「遺産分割審判」を申し立てます。調停と異なり、審判では当事者同士の話し合いは行われず、審判員が質問や調査を行い、最終的に家庭裁判所が公平な分割方法を決定します。この決定には強制力があり、納得がいかなくても従わなければなりません。
遺産分割とは何か?
遺産分割とは、亡くなった方の財産(遺産)を、誰がどのくらい相続するかを決める手続きです。遺産には、現金や預貯金、不動産、株式、自動車など、プラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も含まれます。
民法では、相続人が複数いる場合、原則として遺産を分割しなければならないと定められています。これは、それぞれの相続人が自分の相続分を明確にし、自由に処分できるようにするためです。遺産分割は、相続開始を知った時から行うことができます。
遺産分割で揉める原因
遺産分割は、感情的な問題と経済的な問題が複雑に絡み合い、家族間で思わぬ対立を生み出すことがあります。ここでは、遺産分割で揉める主な原因について解説します。
まず、相続人同士の関係性が挙げられます。普段から仲が良い家族であっても、遺産分割という現実的な問題を前にすると、感情的な対立が生じやすくなります。特に、相続人が複数いる場合や、相続財産に不動産などの分割しにくいものが含まれる場合は、それぞれの思惑がぶつかり、紛争に発展する可能性が高まります。
次に、財産の評価に関する意見の相違も、揉める原因の一つです。不動産や株式など、時価が変動する財産の場合、評価額によって各相続人の取得分が大きく変わるため、公平な評価が求められます。しかし、評価方法によって結果が変わってくるため、相続人同士で意見が対立することがあります。
さらに、遺言書の作成状況も、揉める原因となります。遺言書が存在しない場合、民法で定められた法定相続分に従って遺産分割を進めることになりますが、相続人全員が納得するとは限りません。また、遺言書が存在する場合でも、その内容が相続人の期待と異なっていたり、遺言書の有効性に疑義が生じたりすると、紛争に発展する可能性があります。
遺産分割協議がまとまらない場合は?
相続が発生すると、遺産をどのように分けるか、相続人全員で話し合い、遺産分割協議書を作成します。しかし、相続人の中に一人でも反対する人がいると、遺産分割協議は成立しません。
相続人間で意見が対立し、遺産分割協議がまとまらない場合は、家庭裁判所に「遺産分割調停」を申し立てることができます。遺産分割調停とは、家庭裁判所の調停委員が間に入り、相続人それぞれの話し合いを助ける手続きです。
調停では、弁護士などの専門家が、法律や判例を踏まえた上で、客観的な立場からアドバイスを行います。そのため、感情的な対立を避けて、冷静に話し合いを進めることができます。
遺産分割調停は、あくまでも当事者間の話し合いによる解決を目指します。調停委員は、双方の言い分を聞いた上で、お互いが納得できるような解決策を提案します。そして、全員が合意に至れば、調停が成立し、確定判決と同様の効力が発生します。
遺産分割調停の進め方
遺産分割調停は、家庭裁判所の調停委員という第三者を間に立てることで、相続人同士の話し合いをスムーズに進め、遺産分割協議の成立を目指す手続きです。
具体的な流れとしては、まず、相続人のうちの誰か一人、または複数人が、家庭裁判所に対して遺産分割調停の申立てを行います。申立てに必要な書類には、戸籍謄本や遺産の目録などがあり、事前に準備が必要です。
申立てが受理されると、家庭裁判所から、申立人と相手方に対して、調停期日の通知が届きます。調停期日には、当事者全員が出席し、調停委員を介して、遺産の評価や分割方法について話し合いを行います。
調停委員は、法律の専門家であると同時に、豊富な経験と高いコミュニケーション能力を持った中立的な立場の人です。そのため、感情的になりがちな相続人同士の言い分を丁寧に聞き取りながら、双方が納得できるような解決策を提案してくれます。
調停が成立すると、調停調書が作成されます。これは、裁判の判決と同じ効力を持つため、後から当事者が合意内容に反することはできません。
遺産分割調停は、弁護士などの専門家に依頼することも可能です。専門家に依頼することで、手続きがスムーズに進められるだけでなく、より有利な条件で調停をまとめられる可能性があります。
遺産分割で揉めている場合は、まずはお近くの弁護士に相談してみることをおすすめします。
遺産分割調停で決着しない場合は?
遺産分割調停は、家庭裁判所の調停委員が間に入り、相続人たちの話し合いをサポートする手続きです。
調停では、お互いの主張を柔軟に調整し、現実的な解決策を探っていくため、多くのケースで円満な合意形成が期待できます。
しかし、時には、感情的な対立が深く、どうしても合意に至らないケースも存在します。
遺産分割調停で決着しない場合、どうなるのでしょうか?
調停不成立となれば、次のステップとして、遺産分割審判または訴訟という選択肢があります。
遺産分割審判は、家庭裁判所の判断によって、遺産の分割方法を決定する手続きです。
一方、訴訟は、通常の裁判と同様に、主張・立証・反論などを経て、最終的に裁判所の判決によって決着をつけることになります。
いずれの選択肢を選ぶ場合でも、時間と費用の負担が大きくなる傾向があり、相続人たちの精神的な負担も増大する可能性が高いと言えるでしょう。
遺産分割調停は、あくまでも話し合いによる解決を目指す場です。
円満な相続を実現するためにも、調停の場で、自分の希望を明確に伝えつつ、他の相続人の意見にも耳を傾け、歩み寄りの姿勢を持つことが重要です。