東大寺

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葬儀と華厳宗:東大寺の大仏に宿る教え

華厳宗は、7世紀にインドで成立し、8世紀に中国から日本へ伝えられた大乗仏教の一派です。その教えは、華厳経と呼ばれる膨大かつ壮大な経典に基づいています。華厳経は、釈迦が悟りを開いた直後、言葉ではなく、宇宙の真理をそのまま体現した「重重無尽」の世界を説いたとされます。 華厳宗では、この世界を「事事無碍法界」と呼びます。これは、あらゆる存在が互いに関係し合い、影響し合いながら、一つの調和のとれた世界を織りなしているという考え方です。そして、私たち一人ひとりが、この宇宙全体と同じように、無限の可能性と価値を秘めていると説きます。 華厳宗は、奈良時代に東大寺を拠点として栄え、国家鎮護の祈りを捧げる役割を担いました。東大寺の大仏は、華厳経の世界観を具現化したものであり、宇宙の真理と慈悲の象徴として、多くの人々の信仰を集めています。
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東大寺「お水取り」: 知られざる修二会の真実

毎年、春を告げる行事として有名な東大寺二月堂の「お水取り」。1200年以上一度も中断することなく続けられてきたこの行事は、正式には「修二会(しゅにえ)」と呼ばれ、その歴史は奈良時代まで遡ります。752年、光明皇后の願いにより、インド出身の僧侶・菩提僊那が東大寺に招かれ、悔過(けか過去の罪を懺悔すること)の修行を始めたことが起源とされています。 「修二会」とは、旧暦の2月に行われることから名付けられました。この期間、選ばれた僧侶たちは、世俗を離れ、二月堂の本尊である十一面観音に罪を懺悔し、人々の幸福や国家の安泰を祈願します。そして、そのクライマックスに行われるのが、12日の夜に行われる「お水取り」の儀式です。