「喉仏」:故人との最後の別れにみる尊厳
火葬を終えた後に行われる「骨あげ」は、故人との最後の別れを惜しみ、遺骨を拾い上げて骨壺に納める大切な儀式です。骨あげの際に特に目に留まるのが「喉仏」ではないでしょうか。喉仏は正式には「甲状軟骨」と呼ばれ、その名の通り軟骨組織でできています。
火葬という高温の炎にさらされても、喉仏は比較的原形を留めていることが多いため、古くから「喉仏だけは亡くなった人の魂が宿る」と言い伝えられてきました。そのため、喉仏は他の骨とは別に扱われることもあり、地域によっては骨壺に入れない、あるいは一番最後に入れるといった風習も残っています。
科学的な根拠はさておき、喉仏が原形を留めている姿は、故人の生きた証を目の当たりにするようで、深い感動を覚える人も少なくありません。故人の面影を偲びながら、感謝の気持ちを持って骨を拾い上げることで、改めて死と向き合い、残された者の心が癒されていくのではないでしょうか。